※小説ではなくメモです、メモなので、誤字脱字とか言い回しがおかしいとか意味不明な所とか同じことばかり言ってるとか細かいことはスルーしてください。
読み直した私が萌えればいい前提なので気にしてないで話を進めてますとかいいながら進んでない(笑)

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01

去年のオレが今のオレを目にしたら、それはもう面白い位に頭がパンクしてしまうだろうという程に今のオレの身辺は去年からは想像もつかない位に変わってしまった。
正直自分でもこうなるなんて思いもしなかったし、寧ろこんな状態の自分を微塵たりとも想像すら出来なかった、否出来る訳がなかった。
オレなんて通常の、そこらへんにいるような人間の一人で、極々フツーの、バスケにのめり込んでる高校二年生(男子)だ。
バスケに明け暮れ、勉強に手こずりつつ、かわいい彼女なんて出来たらいいなーなんて思っている、本当によく聞くただの男子高校生だったはずなのに……

「その、オレ……オマエに触れて欲しいんだ……」

オレの部屋のオレのベッドに腰掛けている男がオレが台所から運んだ二人分の飲み物を机の上に置いた瞬間、オレの背中に向かって言葉のダイナマイトを投げてきやがった。
思わずオレがベッドに振り返るとその男は背を丸め俯いていて、その様はとてもオレよりも10cm以上もタッパがあるガタいのいい奴には見えない程に小さく見える。
この爆弾発言をした男、オレと同じ高校に通い、同じ部活で共にバスケに明け暮れている木吉鉄平というのだが、いつもは物事に動じず、明るく、人好きな笑顔を常に浮かべていて、ふわふわぼけぼけしている(ついでにボケまくる、それがなまじ真剣で天然にボケるからコイツにつきあっているとマジで疲れる)
そしてなつっこい大型犬のようなと形容できる(実際オレに懐いてくる)ヤツなのだが、そんないつものオマエはどこへ行ったという位、今のコイツはまるで捕食者を前にして追い詰められ最後の瞬間を迎えているかの小動物だ。
それにこんな小さな声でぽそぽそ喋べるようなヤツでは決してない。
小憎たらしいことやこっぱずかしいことを平気で声高とまでいわないがそれなりのトーンと大きさで口にする、ド天然なヤツだ。
ましてや顔を耳まで赤くして恥ずかしげに消え入りそうに震えるなんて、ぶっちゃけオレはコイツと出会ってからこんなコイツの姿を初めて見たと言っても過言ではない……あ、いや、顔を耳まで赤くした所は、その、見たことがある。
コイツとキスをするという行為の際、コイツは至極嬉しそうな顔をしながら毎回顔を赤くしていた(否、多分コイツだけじゃなくオレもコイツに負けない位赤くなってると思う、どうにももう既に何回か回数を重ねたものの慣れなくて照れ臭い)
……そう、その、なんだ、オレ日向順平はコイツ木吉鉄平と所謂恋人としてお付き合いというものをしている。
出会った瞬間から気に食わなくて嫌いでウザくて負けたくなくて、コイツのことが脳内をよぎっただけで心がざわざわしていい気分ではなかったはずなのに、まさしくこの感情の絶頂期にいた去年のオレがオレ達が恋人になっていると知ったら絶対に卒倒するだろう。
そういうわけでオレは初めコイツに対してそういった恋愛感情を持っておらず、しかし聞けばコイツは初めての頃から恋愛感情ではないがオレに好意をもっていて、気が付いたら恋愛感情に変わっていっていたそうだ。因みにトドメはオレがコイツを泣かせた時だったらしい。
それからずっとその想いを隠し、オレにも誰にもバレないようにしていたそうだが、相当辛かったようで、耐えきれず思わず出てしまった(木吉本人は全く気付かなかったらしい)こいつの苦しいという悲鳴にオレが気付いたことから色々紆余曲折を経て、オレもコイツをコイツと同じに感情を抱きはじめ、そして付き合うようになったのだが、もう自分のことながらつくづくこんな展開になるなんて思わなかった、今でも不思議でしょうがなかったりする。
でも今ではオレはコイツを憎からず思っているし、一人でなんでも背負いこもうとするコイツをバカヤロウと怒鳴りつけ叩いてやって思いっきり抱きしめてやりたいと思うし……キス、もしたいとも思えるようになっている。
しかし……

「触れて欲しいって……あー……なんだ……その、せ、せ、セックスってことか……?」
「あ、ああ……」

肝心な所で言葉につかえてしまったのが余計にその単語の意味を改めて痛感し恥ずかしくなるが、木吉はオレがつかえたことに大して気にもとめていないようだ。
否、木吉的にはそれどころかじゃないのかもしれない。
オレの言葉より木吉の言葉の方が余程恥ずかしいだろう、というか同じセリフをオレが言えと言われたら全力で断る。
触れて欲しいって……改めて考えても凄い誘い文句じゃないか?
かわいい女の子に恥じらいながら言われたら世間の男どもは両手を合わせて戴きますと有り難く食ってしまうだろう。
しかしこのセリフをオレに向かって行ったのは190オーバーのがたいのいい男で、だけどコイツを恋人としているオレの脳内ではオレは愛しいと思ってしまう程になっている。
しかし反面申し訳なくなってしまう。
付き合ってはいるし、恋人同士だし、もし仮にコイツがオレ以外の誰かに同じような面しながらこのセリフを言って、そしてその誰かにコイツが抱かれる……というのは想像しにくいのだが、抱くにしても抱かれるにしてもコイツがオレ以外の誰かのものになるってのは心底ムカつくし、コイツはオレのんだという独占欲はある。
けれどだからといってセックスしよう、という方向にはならなかった。
大衆の面前で言えるかといえば話は別だが、正直、コイツのことを胸を張って好きだってはっきりいえるけれども、オレはコイツに今まで欲情したことが一度たりとてないのだ。
オレだって男だ、たまることもあるがコイツをオカズにして抜いたことなど一度もなく、寧ろコイツをオカズにしようとしたことすらなかった。
というか男同士のお付き合いで自分の場合、セックスに結びつかず、オレたちが付き合ってると知っている伊月やらカントクやら黒子や火神に体の関係はどうなんだとか、変な入れ知恵されたりもして、他の同性同士のカップルではそういったことをするものもいるというのを知ってはいても、それはそれぞれのカップルの問題だ、ありえないとは言わないがオレはオレ達にはそんなものがなくてもいいと連中にも言ってきたし、木吉もそうだと端から決めつけていた。
からこの木吉の触って欲しいイコールセックスしたいという発言はオレには青天の霹靂がオレの脳天ピンポイントで落ちてきたかのように頭に強烈な衝撃を与えた。
ずっとオレと同じ思いだと思っていたのに……コイツは違ったのか、オレの事を抱きたいとかオレに抱かれたいとか思っていたのかと思ったら、腹のどこかの器官がきゅうと締め付けられる感覚を覚えた。

「オマエ……そんな、オレとシたいなんて思ってたのか……」

単純な疑問が自分では声にしようとしたつもりはなかったのだが、口からポロリと零れ落ちてしまった。
すると木吉はこのオレの単純な疑問を悪い方に受け取ったらしく、俯き気味だった顔を僅かに上げ、真っ赤のまま泣きそうな顔をさせて

「すまん、気持ち悪いよな……変なこといってすまなかった」

とオレに謝ってきた。
気持ち悪いと言われたが特に気持ち悪いとは思わなかったから、気持ち悪いとは思わなかった、ただ単純に驚いただけだとその旨を伝えると、木吉はどこかホッとしたような雰囲気を漂わせ、「そうか」と泣きそうな顔のまま、しかし必死に作りましたと言わんばかりの笑顔を浮かべてきた。
しかし木吉にセックスをしたいと言われ、よくよく考えてみればオレはないものとしていたが、好きだから、だからこそ触れて欲しい、体を繋げたい、セックスをしたいという考えに行き着くのは間違いではない。
正常な考えだ。
ただ男同士だからオレは先に述べた通りの考えで、その発想には至らなんだが、木吉は好きだから触って欲しいとそのままストレートにそういう風に思っただけだろう。
もしかしたらコイツは付き合う前は分からないが相思相愛になりお付き合いするようになってからいつかはそういう関係になるんじゃないか、とずっと思っていたんじゃ……オレがいつ触れてくれるんだろうかとか、自分のことをそういう対象で見ていてくれているのだろうかと、ずっと思っていたとしたら……
オレはコイツに対して酷い拷問のような時間を味あわせていたんじゃないかとふと気付いてしまった。
オレは全くその気はなく、ただ隣に居続けたらとコイツと一緒いれたらと思っていたが、コイツはその先を望んでいて、でもオレにはそんなことをする気配が全くなく、見えない心内で不安に思い、本当に付き合っているのか、恋人同士なんだろうかとまで悩み(コイツは基本ポジティブだが実は誰よりもマイナス思考なところがある)、だからキスをすると恋人だいうことを改めて感じられるからこそやけに嬉しそうにしていたのでは……
そしてきっと意を決し、今日この時、オレに自分がずっと胸に抱いていた思いを告げたんだろう。
マイナスのマイナスまで思考が行き着き、気持ち悪いの発言からしてオレに嫌がられるかもしれないことを覚悟してまで。
そんな必死の思いでの触って欲しい発言に勿論オレは気持ち悪いとは思わないが、正直どうすればいいか非常に困った。
コイツを愛しいと思えるがセックスは……ぶっちゃけモノがコイツでたつとは到底思えない。
どうコイツに答えていいものか言い及んでいると、また木吉はすまんと謝り、視線をゆっくりと俺から逸らしつつ、先程の震えはない、だが明らかに意気消沈した声色で

「日向を困らせるつもりはなかったんだ、ただオレは、オマエに触れて欲しくて……でもオマエはオレに触れたいと思っていないならそれはそれで構わないよ。今の関係だけでもオレは幸せだ。オマエのことを好きになっちまって、でもオマエにオレと同じ風に好きになってもらえるとは思わなかったから、今こうして同じ感情を持ってくれて、オマエのすぐ隣にいられるのは凄く嬉しいんだ……キス出来るだけでもオマエと繋がりはあるし、無理なら……うん、今のはなかったことにしてくれ」

なんて言うものだから、オレは自分で自分を殴りつけたくなった。
結局付き合いはじめてからオレはコイツを毎日幸せに、アホみたいに笑っていられるようにしてやりたいと思っていたというのに、肝心なことはコイツに何も言わず、勝手に自分と同じと決めつけたせいでコイツを不安がらせ続けさせてしまったなんて、本末転倒過ぎるだろう。
自分のバカさ加減に腹が立ち、こうなったからにはオレははらをくくることにした。


20120215
20120506