※やっぱりお約束ですが、小説ではなくメモです、メモなので、誤字脱字とか言い回しがおかしいとか意味不明な所とか同じことばかり言ってるとか、それも携帯で打ってるので最初のことは忘れてるわで辻褄は合ってないところがあったりありますが、細かいことはスルーしてください。

------------

02

オレは机から離れ、大股二歩の距離にあるベッドの上に腰掛けるコイツの前に立ち、視線とともに顔も逸らし、完全に俯いて断罪を待つかのようなコイツの、ベッドの布団を固く握りしめている手首を握って持ち上げた。
その行動に木吉は驚いたようで反射的に俯いていた頭を持ち上げ、顔をオレに向けた。
触れて欲しいと言った時から赤くなっていた顔ははじめの羞恥からきている赤さから完全に泣き出す直前の赤さへ変わっているが、しかしオレの突然の行動に目には悲しさよりも驚きの色が強くなり目が大きく開かれ、パチパチと音が聞こえる位瞬きを繰り返している。

「ひ、日向?」

オレの顔をその白黒させつつ不安気な目で見つめ、上擦った声でオレ名前を吐き出す木吉のその口に、オレは自分の口をぶちあてた。
僅かにその後に続いた「どうしたんだ」というコイツの声は語尾まで聞こえずオレの口内に消えていった。
漫画やテレビや……AVでするような所謂濃厚なディープキスというのは舌を突っ込むらしいがぶっちゃけ具体的にどうやってすればいいのかよくわからず、木吉も分かっているのか分かっていないのか分からないが、ただ口を合わせて、唇を啄むようにするキスしかしたことがなく、今回も違わずそのいつも通りのキスだったが、いつも以上に何度も何度も繰り返ししてやる。
最初されるがままだった木吉もそのうち答えてきて、途中から瞼を下ろし、キスをする度に本当に微々たるものだったがピクピクと肩震わせ、たまに「ん、」と鼻に抜けた声が漏れ、オレの耳に届いた。
いつもはキスをしても長くて数秒程度、啄むのだって数回しかしたことがなく、こんなに長い間何回も何回もキスをしたのははじめてだった。
今までキスをしたいと思ってキスをしてもその数秒口が合わさるだけで恥ずかしさや照れくささは最高潮に至って、でもお互いの唇と唇が重なったというだけでオレはそれなりに満足出来た。
木吉はどう思っていたのか、酷く嬉しそうな顔をしていたけれど、あんなことを聞いてしまったらいつものキスじゃコイツに伝わらないと、足りないんじゃないかと思い、もうひたすらにコイツの唇を吸ってやった。
気持ちが木吉を押していたが実際にもオレの勢いに押され、木吉は後ろに倒れそうになり、オレに掴まれていない方の手を後ろにおき支えにしていた。
そして一旦顔を離し、薄く開いた唇の端にもう一度口付けたあと、口から上がり頬や鼻や額、こめかみやら瞼にも口を這わせ、何回も顔中至る所キスしてやる。
最後に一番赤くなっている左右の目尻を交互にちゅ、と音を立ててから口を離し、しかし顔を完全に離すのではなく鼻先の産毛が触れるか触れないかのぎりぎりで止めた。
そんな間近に顔と顔を突き合わせた状態だとコイツの息遣いがはっきり感じられる。
逆にオレの上がった息遣いもコイツに感じ取られているがもうそんなのは今更だ。
木吉もオレに負けない位息は上がっている。
つーかキスをしてこんなに息が上がるなんてはじめてだ。
運動した時に上がる息とはなんか違うななんてうっすら思いながらキスに酔っている(だったらした嬉しい)ような木吉の顔を見つめていると、はあ、とやけに甘いと感じられる息をコイツが一つ大きくついたあと、睫毛をふるふる震わせてキスをしている最中ずっと閉じていた瞼をゆっくり開いた。
そして瞼の奥のぼんやり惚けた目がオレに向けられる。

「ひゅうが……?」

たどたどしくオレの名前をよぶ木吉の頬を空いた方の手で撫でてやるとキスしているときにやけに熱く感じたその通りにコイツの赤くなった顔はぽっぽと火照った温度で、逆に先程まで冷たい飲み物を手にしていたから冷たくなっていたオレの手が木吉には心地よかったのだろう、気持ちよさそうにオレの手に木吉が小さくすり寄った。
無意識でやっただろうオレに懐いているようなその仕草が(否実際懐いてるところもあるが)こんなガタいのいい男に言うのも変な感じかもしれないが昔のオレなら絶対思わなかっただろう、けど今のオレにはコイツがかわいく映ってしまう。

「このダアホ、遠慮してんじゃねーよ。してほしいことがあんならはっきりオレに言え。言われなきゃ分かんねーだろーが」

叱り言葉だが殊更優しく言い聞かせるように言ってやると

「……すまない」

木吉は眉毛を下げて謝ってきた。
つーかオマエさっきからずっとオレに謝ってばかりじゃないか?

「謝ってんなよ、大体謝ることじゃねーだろ」
「す……ああ」

今また謝りかけただろ。
ったく、コイツは普段は馴れ馴れしくてずうずうしい、ずけずけ言うくせに、こういう色恋沙汰っつーかでのオレのことに関しては途端に弱気になりやがる。
それだけオレに嫌われたくないのか。
それだけオレの事が好きなのかと思うとまた愛しさも湧くが、同時にそんなに簡単に嫌いになる男に見えるのかと怒りも湧いてくる。
そんなに簡単に嫌う訳がない。
嫌いというのなら去年が一番のピークで今は当時とベクトルが逆を向いている。
会った時は本当にもう公言出来る程嫌いで嫌いでしょうがなかった、というか面と向かって嫌いと言っちまった。
……あ、だから余計になれる訳がないと思っていた今の関係をすぐに壊れてしまうものと思っているのか、そして一旦できてしまうとできてしまったで今度は壊れることに恐怖を持ってしまっているということなのか……
全く、本当にコイツは変な所で心配性過ぎて、普段のポジティブをここにも持ってこいっつーの。
わざとらしくハアっと息を大きくつくと木吉の肩がビクリとはねた。
オレがオマエに呆れたとか最悪嫌ったとでも勘違いしてるんだろう、けどオレはそんな恐怖を抱いたコイツにまた一つキスを落としてやった。

「我慢するな、どんなことでも何か思うことあんなら言えよ。相当なことがない限りそうそう嫌わないって」

唇を離してまた先程と同じ位に顔と顔が近いところで止め、そして頬を軽く撫でると

「触れて欲しいってのはオマエの言う相当にはならないのか……?」

とコイツが恐る恐る尋ねてきた。

「まー……ある意味相当っちゃ相当だけど……いや、びびったことはびびった」
「……」

本当に驚いたことは驚いた、からはっきりその事を口にすると、コイツはオレに掴まれていない方のやけに火照った手を伸ばし、コイツの頬を撫でているオレの手に重ねてきた。
元からコイツは体温が高いが(かといって別にオレも低体温って訳ではなく標準だと思う)、たまに繋ぐ手がぽかぽかとしていた記憶が強かったのだが、今のオレの手に触れたコイツの手のひらは顔と同じように不自然に熱く、普通に熱でもあるんじゃと思って心配になる。
熱を計るには額よりも首元の方が個人的に分かりやすいので、首元に手をもっていきたいのだが、掴んだコイツの手を離すと何故か逃げられるような気がして躊躇い、コイツが今重ねてきた手をどかすのもヤケにコイツの触れ方が縋るように思えてしまい離すことが出来ない。
顔は先程の唇と今触れている手のひらで十分熱いことは感じて分かってはいるが、それでもとコイツの額に自分の額をコツンとあてた。
すると先程よりお互いの目がより近くなり、コイツの瞳の中にオレが小さく映っているのが見えた。
その自分の表情がキスした直後だから木吉ほどではないが赤くはなっていたが思ったより冷静に映っていて、こんな顔させていればコイツが不安に思ってしまうっていうのが少し納得できた。

「ダアホ勝手に自己解釈してんな」

額を合わせたままオレの言った相当と今は違うと言っても不安気な目の色は変わらず、オレを見つめてくる。
しかし本当はオレから目を逸らしたいんだろう。
瞳がたまに僅かだが横に何度も動いていた。
そんなコイツの掴んだ手首をオレは一旦離し、だが逃がさないようにすぐに手を捕まえ、手のひらを合わせて指を絡める。
そして

「オマエがオレにしたいことして貰いたいことがあんなら言え。出来る範囲でならしてやる」

そう告げるとオレの視線から逃げ出しそうになっていたコイツの瞳はピタリととまり、真っ直ぐ揺らぐことなくにオレにその瞳を向けてきた。


20120227
20120506